横垣哲也のミソ知る

時代に乗り遅れたテレビカメラマンがブログを始めました。

許してくれる人がここにいます<185日目>

 

 

 えらいもんで2021年も残りわずかとなりました。結局今年もコロナウイルスに振り回された一年になりましたね。そんな中でもたくさんの仕事させて頂きました。僕は振り返ることが大好きなので、今年もお世話になった仕事をだだ〜っと並べてみることにしましょう。

 

ミント!ちちんぷいぷい住人十色キメツケ!ダイドコロベジタせやねんよーいドン!駿台対策講座魔法のレストラン魚が食べたい卒業RECORD土曜はナニする⁉︎リモ活LIVE相席食堂よんチャンTV情熱大陸丸山・本並夫婦のバズHouse〜話題のトレンドアイテム大集結SP〜日本料理大全関西ジャニ博トレインクルーズ魔法のよんチャンTV大阪万博公園聖火リレー配信ベトナム向け日本観光動画LIFE〜夢のカタチ〜CoDeliCMアッヴィ研修動画有吉ジャポンⅡジロジロ有吉大漁ジャパンK-POWERSグループCM東京オリンピックバレーボール会場D.E.FライブRUSHBALL2021Veevaセミナー配信里帰り代行します立命館大学オペラ撮影FreshFaces〜アタラシイヒト〜ザ・ベストワンかもん!おおさかもん!カチモ!はじめてのおつかいかまいたちの知らんけどかんさい情報ネットten.都城市ふるさと納税インフォマーシャル・Web動画京都いいもの探訪天王寺楽所雅亮会雅楽公演会見取り図のやらかし発見!失敗トリガーナジャ・グランディーバのチマタのハテ関西ジャニーズJr.LIVE2021-2022THEBEGINNING〜狼煙〜四国村展示動画関西MBS万博

 

 といった一年でした。発注をしてくださった方々、困った時にいつも助けてくれる方々、みなさんのおかげでこうして一年楽しく働かせて頂くことができました。この場を借りて感謝申し上げます。ありがとうございました。来年も宜しくお願い致します。

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 会社員になって2度目の年末。今年は12/28で仕事納めです。仕事が入ったので僕はロケに出ていましたが、他のスタッフは会社で大掃除をしていました。ロケを終えて帰ってくると社内がスッキリして、心なしか広くなったような気がします。もともとその日の夜は忘年会を予定していたのですが、新型コロナウイルスのこともあるので、会社のテーブルを囲んで納会を行いました。お歳暮に頂いた缶ビールの横には、ドーナツ、エクレア、シュークリームといったスイーツ大三元が揃っていました。そういえば前の会社でも社内でお鍋をしたり、屋上でバーベキューなんかをよくしていたのを思い出します。こういうアットホームな雰囲気が好きです。みんなでむしゃむしゃ食べて、今年を無事締めくくることができて良かったです。

 今の会社には代表取締役の他に社員は8名。設立したのは平成元年なので今年で34年目になります。業界の中でもこれだけ長く続いているプロダクションは数少ないです。

 この先フリーランスのまま行くのは将来的に不安がありました。カメラマンっていう仕事は元気じゃないとできない仕事です。今は全然大丈夫ですがこの先、何かが原因で体が動かなくなってカメラを持つことができなくなったら、どうやって収入を得ればいいのでしょうか。だからといっても起業するのもリスクがあります。社員を養っていかないといけませんし、倒産してしまう可能性だってありえます。体が動いても首が回らなくなってしまっては意味がありません。

 安定とノーリスク。この環境を手に入れる為には会社員になるしか方法がありません。しかしフリーランスを経験して仕事の楽しさを知ってしまった以上、それを捨ててまで会社員になるのはなかなか難しいと思います。実際に僕も悩みました。安定とノーリスクを得るために、収入と自由を失うのが怖かったからです。

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 今の会社の良いところを一つあげるとしたら、それは社長の器のデカさです。僕の器が小さいので余計にデカくみえます。もう少し具体的にいうと、社長は「許す」のがとても上手な方なんです。もちろん経営者になったことがない僕がエラそうなこと言えませんが、責任ある立場の人にとってこの「許す」というスキルは必要不可欠だと思います。おそらく自分で責任が取れる範囲であれば、ある程度の事は許してくれるはずです。そのおかげで今の環境には安定とノーリスクと自由があります。収入は少し減りましたが、そのぶん色んなメリットが増えました。やりたいことがいっぱいあります。それを実現させるためにこの会社を選びました。まだまだ課題は多いですが、これからも会社と一緒に成長していきたいと考えています。

 コロナウイルスなんかぶっ飛ばして、来年は人をいっぱい呼んで盛大に忘年会をしたいですね。もちろん支払いは会社の経費です。少々高くても許してくれることを期待しています。

 

 ご精読ありがとうございました。

 

CMをつくろう<184日目>

 

 

 ここ最近、運気が良くないです。何をやってもうまくいきません。カメラを持つ右肘も痛いし、少し走っただけで息は切れるし、柵をまたごうとしても足が上がらないし、ファインダーを覗いてもぼやけてよく見えません。

 そういえば僕、今年40歳なんです。数え年で言うと41歳なので前厄でした。厄年は「大きな決断や新しい出来事を始める」には「向いていない年」と言われています。しかしもう一方で、「厄」は「役」とも考えられていて、役目を与えられる年とも言われています。個人的には何事もポジティブに考えたいので、役を担う年であってほしいと願っています。

 厄年が関係ないとすると運気が悪い原因は一体なんでしょうか?もしかすると良くないモノに取り憑かれているのかもしれません。最近は物を無くしがちですし、昨日もなにを食べたか思い出せません。

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 ここ数ヶ月、ブログを書く手が重くなっています。月に1〜2本しか更新できていません。書きたいことを書けばいいのですが、書きたいことが見つからないんです。正確にいえば、自分的に書くことがマンネリ化しているんです。そういえばブログを書き始めた当初も同じように何度か苦しんだ記憶があります。

 こうして読み返してみると感慨深いものがありますね。当時うまく書けなくて悩んでいた僕は、現状から抜け出そうと色々考えたあげく出した答えが、もう一つブログを新設するでした。

 その場でじっとするんじゃなく、失敗してもいいからとにかく動くこと。そのためには、まず宣言すること。このときの僕はそれを直感的に実行していました。

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 新しいことをはじめよう。どうせなら今までやってこなかったことに挑戦したい。色々考えて出した答えの一つが「ブログ」でした。文章を書くのは難しいです。作文が大嫌いだった僕が、ここまで続けられているのは奇跡なのかもしれません。

 今ではこのブログが僕のポートフォリオになりつつあります。僕のことをあまり知らなくてもブログを読んでもらうことで、どんな人間なのか少し理解をしてもらえるんじゃないでしょうか。これからも枠にとらわれず、色んなことに挑戦しながら、ライフワークとしてブログを発信し続けていきたいです。

 そしてこのたび、新しい試みとしてブログのCMをつくることに決めました。いつかタイミングを見計らって、自分で制作した動画を発信したいと考えていましたが、やっとその時が来たようです。

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 ある程度の構想は頭の中で描いていますが、それをどこまで形にできるかはわかりません。ただ、めちゃくちゃこだわって作ってやろうと思います。僕が持っているすべてをこのCM制作に注ぎ込みます。

 ある人の言葉を借りて言うなら、文字はここまで僕を連れて来てくれました。はたして動画は、僕にどんな新しい世界をみせてくれるのでしょうか。それはやってみないとわかりません。

 

ご精読ありがとうございました。 

 

 

 

 

何をするにも理由がいる<183日目>

 

 

 会社で機材を購入しました。その名も『MARS 400S PRO』です。映像をワイヤレスで飛ばせられる優れものです。以前のものと比べると低遅延で画質も良くなりました。バッテリー・ACアダプター・USB-Cに対応しているので、よっぽどのことがない限り電源の心配はいりません。しかもアプリをダウンロードすればスマホタブレットでも見れちゃいます。映像出力もSDIとHDMI両方に対応しているのがいいですね。

 こいつのおかげでカメラとモニターをケーブルで繋げる必要が無くなるので、ロケの機動力もグッと上がります。すでに何度か使用しているのですが、あまりにも便利なので、みんな腰を抜かしています。これからのモニターは、ワイヤレスが当たり前の時代になっていくに違いありません。

 ちなみにこの機材のお値段ですが約¥80,000円です。人の価値観はそれぞれ違うので、これが高いか安いかは一概に判断しにくいかもしれません。たまの贅沢がスタバのホットコーヒーである僕にとってはかなりの高額ですね。

 例えば時給1000円で8万円稼ごうと思ったら、80時間も働かなくてはいけません。日にちで換算したら3日と8時間です。3日間ぶっ続けで働くことは現実的に不可能なので、3日間休みが無くなるって考えたら、この機材がどれくらいの価値なのかがイメージしやすいかもしれません。

 みなさんは3日間休みあったら何がしたいですか?僕はスタバのコーヒーとお菓子を食べながら『進撃の巨人』と『鬼滅の刃』と『東京リベンジャーズ』を漫画で一気読みしたいです。

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 お金と時間を大切にして毎日を過ごしています。何のためにお金を使うのか?誰のために時間を使うのか?そんなことを意識をするようになってから、普段の生活で迷ったり悩んだりすることが少なくなったような気がします。理由を作ることで目的がハッキリするからなんでしょうね。

 冒頭でもご紹介した機材も同じで、「何のために、誰のために」を考えて購入しました。

 三つあります。まずは「自分のため」に。技術者としての飽くなき探究心が…と言いたい所ですが、ただシンプルに新しいオモチャが欲しかっただけ。男ってのはいくつになっても子供なんです。

 次は「会社のため」に。機材を知ることは技術者にとって「基本のキ」です。他のスタッフと共有することで知識向上、技術力アップに繋がります。機材を使いこなせるスタッフはどんな現場でも重宝されますからね。

 そして最後は「お客様のため」に。この場合のお客様はディレクターになります。そもそも買うキッカケとなったのが、いつもお世話になっているディレクターがボソっと、「モニターをスマホで見たい」呟いていたからなんです。こういうのってキッカケとタイミングが大事じゃないですか。色々御託を並べていましたが、もしかするとディレクターに喜んでもらいたいという理由だけで本当は十分なのかもしれません。

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 近江商人の経営哲学に『三方よし』という言葉があります。売り手と買い手が満足するのは当然で、そこに社会へ貢献できてこそ、良い商売という考え方があります。需要と供給があるから成り立っているわけですが、買う側は単に消費として購入するのではなく、応援と捉えてお金を使うことでその価値観が大きく変わります。

 今回購入した機材は『Hollyland』という会社が機材を開発をしました。映像伝送の他にもワイヤレスマイクなど無線機器を中心に販売している会社です。そこに8万円分の応援をさせて頂きました。この先、Hollylandはその支援を元手に、今よりもっと便利で新しい機材を開発してくれるに違いありません。

 このように見方を少し変えてやることで、お金の使い方も変わってくるんじゃないでしょうか?自分が一生懸命働いて稼いだお金だからこそ大切に使いたいです。

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 これからもっともっと沢山の人に応援してもらえるようなテレビカメラマンになりたいです。その為には、まず僕が沢山の人達を応援することから始めていきたいと思います。お金と時間は出来るだけ大切な人に使いたい。

 

 

ご精読ありがとうございました。

 

 

人は一人で勝手に助かるだけ<182日目>

 

『思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから』

 これはマザーテレサが残した有名な言葉です。

 

 ブログを始めてからというもの、人生が少しずつ変わってきたように思います。先日もブログキッカケで知り合った方からロケの発注がありました。営業活動のためにブログをしているわけではありませんが、仕事に結びついたことは素直に嬉しく思います。当初目指していた毎日更新はできていませんが、少しずつでも続けていれば良いことはあるんですね。改めてブログを始めて良かったと思います。

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 ある日、Twitterにダイレクトメッセージにメールが届きました。ユーザー名をみても誰だかわかりません。僕のことをフォローしてもらっているみたいなのですが、どうも親しい仲ではなさそうです。

「こんにちは。急に失礼致します。私は学生で将来テレビカメラマンを志望しています。お聞きしたいことがあるのですが宜しいでしょうか」

 何ということでしょう。このご時世にテレビの仕事をしてみたいという若者がまだいたなんて…しかもよりによってなぜ僕なんでしょうか?経緯はわかりませんが文章から推測して、どうやら僕のブログを読んでくれたからメールをくれたんだと思います。

「返信が遅くなりました。ダイレクトメール確認しました。僕がお答えできることであれば何でも聞いて下さい」

 当然無視するわけにはいきません。メールに気づいたのが夜遅かったので翌朝返信しました。すると相手からも早々に返信がありました。どうやら冷やかしでは無さそうです。

「おはようございます。お返事ありがとうございます!将来的にフリーランスとして働きたいと思っています。そのために制作会社で経験を積みたいのですが、その経験はどのくらいの年数が必要でしょうか。また、フリーランスの方はどのようにして取引先から仕事を頂いているのですか?長くなりましたが、よろしくお願い致します」

 なるほど…想像以上にちゃんとした質問でした。僕はてっきり「休日は何をしてますか?」だと予想してたんですが、ひとまず準備していた答えは横に置いといて、聞かれた質問に向き合うことにしました。

「まずはご質問の整理をさせて頂きますね。テレビカメラマンになりたくて、そして将来的には独立してフリーランスでご活躍したいということですよね。その為に制作会社で経験を積むとおっしゃっていますが、私の認識だと『制作=ディレクター』です。この場合は技術会社、及び撮影プロダクションのことだと推測させて頂きますね。

その上で改めて質問を整理しますと、
①会社員での修行期間は何年必要か?
フリーランスでやっていくためにはどうすればいいのか?
にお答えしたいと思います。

①会社員での修行期間は何年必要か?

何年必要かはあなた自身が決めなければいけないことなので、結論から言うと何年必要かわかりません。大切なのは、何年修行するかではなく、何を何年で習得するかです。

 まずどんなテレビカメラマンになりたいのか決めてください。そして何歳までにそうなるかを決めて下さい。『より具体的な目標』と『期限』を持つことをオススメします。

フリーランスでやっていくためにはどうすればいいのか?

 これに関しては僕も教えて欲しいです。目の前の仕事を真面目に一生懸命していれば誰かが助けてくれます。あえて言うなら、
『挨拶すること』
『楽しむこと』
『感謝すること』
ですかね。

 改めて読み返してみると、イキって答えている割に質問に対してはすべて『わかりません』でした。もちろん僕なりに真剣に考えて精一杯お答えしたつもりです。ただ僕自身があまり誰かに人生相談する方じゃないので、相手の気持ちをちゃんと理解してあげられなかったかもしれません。

 僕はお節介な性格なので自分の正義を人に押し付ける悪いクセがあります。人の人生はそんなに単純なもんじゃありません。『悩んでいるなら相談にのってあげる』『困っているから助けてあげる』なんて僕ごときが何とかしてあげようとすること自体がおこがましいんです。価値観はひとそれぞれ。もっと柔軟な考えで人に寄り添える人間になりたいもんです。

 今回お役に立てたかわかりませんが、何かのヒントになってくれたら良いですね。そして最後に御礼のメールが届きました。

「詳しくありがとうございます!とても勉強になりました!」

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  顔も名前も知らない方へのお悩み相談はこれで終了です。突然のメールでビックリしましたが、色々考えさせられる良い機会でした。

 『頑張って下さい。将来テレビカメラマンになったら一緒に仕事しましょう』

 

 ちなみに休日は何をしているかというと、もっぱら『料理』をしています。いい気分転換になるんです。最近作ったのは天ぷらと串カツです。

 

ご精読ありがとうございました。

 

仕事は人生を彩り豊かにしてくれる<181日目>

 

 

 僕の記憶が確かなら、あなたが初めて行ったロケのカメラマンは僕だったんじゃないでしょうか?「おととい入ったばかりで、ロケに来るは今日がはじめてなんです」そんなふうに言っていたように記憶しています。『いまどきの4Kテレビがすごい』っていう内容の取材でした。僕はいつも通り仕事をこなしますが、あなたは三脚を持つだけで精一杯でしたね。

 ロケの合間に僕はあなたに質問をしました。「将来の夢は何?」するとあなたは「お金を1000万円貯めて、実家をリフォームしたいです」と答えました。それを受けて僕はこう答えました。「例えば10年で1000万円貯める為には1年で100万円。それを12ヶ月で割ると1ヶ月で約8万円は貯金せなあかんよ」

 そんなことを言う僕に対してあなたは『なんだこのオッサン?』って顔をしていましたよね。

 あれから何年か経ちました。貯金額は順調に増えましたか?お金が貯まって実家をリフォームできた暁には、お祝いに4Kテレビをプレゼントしたいと思います。

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 会社の同僚が退職することになりました。理由は実家の仕事を手伝うことになったからです。とても素晴らしいことだと思います。

 この一年間は彼女とロケに行くことが多かったです。おそらく彼女にとっては辛いロケばかりだったはずです。しかし弱音は一切口にしないで、僕の無茶ぶりにも嫌な顔をせずに対応してくれていました。時には僕のしょうもないボケにも優しくツッコんでくれました。いつも明るくて周囲に気配りができる彼女に、僕は何度も助けられました。そんな彼女が退社すると聞いて僕はショックでした。

 まさか本人もこんなに早く辞めるつもりは無かったと思います。仕事が楽しくないとか、給料が少ないとか、人間関係がうまくいかないとかが理由なら、説得もできたかもしれませんが、家庭の事情となるとそうもいきません。おそらく悩みに悩んだ末に出した答えだと思います。

 キレイな風景を見たり、美味しいものいっぱい食べて欲しかったのに、コロナが落ち着いたら海外ロケに行って、一緒に世界中を飛びまわりたかったのに、新しいことに挑戦したばかりなのに、これから頑張りますって言ってたのに皮肉なもんですね。

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 「いろんな場所に行けて楽しそうな仕事ですね」とよく言われます。その通りです、だから20年もやってます。まさか自分もこんなに長いことこの仕事を続けているなんて思ってもみませんでした。昨日は深夜の3時に起きて定置網漁の撮影をしました。先日は朝から晩まで休憩なく撮影していました。ロケの日程も不規則なのでろくにまとまった休みも取れません。

 楽しいだけの仕事ってこの世にあるんでしょうか?僕が知る限りそんな仕事はどこにもありません。辛いことがあるからこそ、その先に楽しいがあるんです。この『楽しい』と『辛い』のバランスをとりながら仕事をしています。

 ただ働いてお金を稼ぐだけの仕事はしたくありません。僕が仕事を決める基準はワクワクするかどうかです。嫌な気持ちで仕事をしていてもいい結果は得られませんし、撮影していても全然楽しくありません。ワクワクできる基準を自分に持てるかどうかで、仕事の向き合い方も変わってくるんじゃないでしょうか。

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 最後のロケも僕がカメラマンでしたね。その日はとてもとても暑く、一日中ドタバタしたロケでした。あなたは汗だくになりながら、他のスタッフを一生懸命サポートしてくれていましたね。

 ロケの後半、技術スタッフ全員で記念写真を撮ることになりました。僕は少しでも良い写真にしたかったので、あなたの肩を組んで最高の笑顔をつくりました。そんな僕に対してあなたは『気安く触んなよオッサン』って顔をしていましたよね。

 あの写真を証拠にセクハラで訴えられたら、僕は万事休すです。これからもずっと応援しています。お疲れ様でした。

 

ご精読ありがとうございました。

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辞めたい理由よりもやりたい理由<180日目>

 

 

 2度目の会社員になり、早いもんで1年が経ちました。21歳で前の会社に入ったときは初々しさがありましたが、仕事のスタイルがある程度完成している40歳には太々しさしかありません。

 身の回りの環境を整えることと、結果を出すことに、たくさん時間を費やした1年でした。辛くて辛くてどうしようもない時期もありましたが、改めて振り返ってみるとまだまだやれたんじゃないかとも思います。

 最初の半年間は『覚えること』と『慣れること』に重点をおきました。簡単にいえば情報収集です。取引先との対人関係や社内の雰囲気、会社の機材の確認などです。

 じゃあ具体的に何をしたかというと『質問』です。質問は会話のキッカケを作るのに効果的だし、合わせて疑問も解消してくれます。コミュニケーションの手段として僕はよく使います。

 もう半年間は『自分』を出しました。例えば新しい機材を購入を提案したり、社内の整理整頓をしたり、自分だったらこうした方がいいと思うことは行動しました。

 当然、会社と意見がぶつかることもあります。そのときは議論をして解決方法を探ります。これにはかなりエネルギーを消費しますが、意見を交わすことでよりお互いの理解を深めることができます。

 といった具合で毎日仕事をしていたら、あっという間に1年が経ちました。2年目は少しやり方を変えて、ボチボチやっていこうと思います。

 

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 『フリーランスの方がいいのか?それとも会社員のままの方いいのか?』企業に就職してある程度キャリアを積むと、そんなことを考える人も少なくないと思います。会社は身の回りのことを色々管理してくれますが、フリーランスの場合は自分ですべて管理しなくてはいけません。

 僕もフリーを数年経験しました。面倒なことはもちろんありますが、おかげで色々社会の勉強をさせてもらいました。責任を背負うことで仕事のモチベーションがグッと上がりますし、成功すれば収入も増えます。リスクが高い環境で仕事をしていると、得るものも多くなります。何かしらの代償を払わなくては何かを得ることはできません。昔の言葉でいうところの『虎穴に入らずんば虎子を得ず』です。

 

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 決してフリーランスの方が良くて、会社員がダメという話ではありません。実際に僕はまた会社員になって楽しく働いています。

 ここで大切なのは、リスクを選ぶ覚悟があるかと言うことです。それは会社員でも同じことです。「水が合わないから」と「もっと成長したいから」とでは、環境を変える理由の意味合いが全然違います。

 最近ではユーチューバーになりたい子供が多いようです。その夢を叶えるのはとても簡単です。今すぐアカウントを作って動画を投稿すれば、誰でもユーチューバーになれます。改めて言いますが、ユーチューバーになることが重要なのではなく、ユーチューバーになって何を発信するかが大切なんです。

 フリーランスになってどんな仕事がしたいのか。どんなカメラマンになってどんな映像が撮りたいのか。そこに『目的』があります。

 フリーになることを『目的』にするのではなく、あくまで目的を達成するための『手段』であると理解しておかなくてはいけません。

 

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 僕は自分のやりたいことを実現させるために今の会社に入りました。自分の意思で行動できる会社です。おかげさまで好き勝手やらせてもらっています。身の回りを面倒みてくれる環境で、リスクを背負うのもなかなか悪くありませんよ。

 

ご精読ありがとうございました。

色の無い世界が与えてくれるモノ<179日目>

 

 

 このブログを本格的に始めるまでをSNSをやったことがありませんでした。決して食わず嫌いではありません。興味がなかったわけでもありません。どういう風に利用したらいいのかがわからなかっただけです。

 僕のInstagramをご覧になったことはありますでしょうか?スマホで撮った画像はすべてモノクロに加工してアップしています。懐古的な感じが好きなんです。もちろん色彩があった方が鮮やかでしょうし、インスタ映えもすることでしょう。

www.ito-photo.net

 

 物語の主人公は写真家の伊東俊介さん。先日、朝日放送『LIFE〜夢のカタチ〜』という番組で製作現場を取材させて頂きました。

 伊東さんは日本各地のギャラリー・カフェ・雑貨店など様々な場所で出張撮影会をしています。この活動は10年以上続いており、これまでたくさん人を写真に収められてきました。

 彼の活動で一番特徴的なのは、フィルムカメラで撮影をしていることです。しかも写真はモノクロで仕上げています。

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 動画と違って写真は一瞬の表情をカメラに収めなくてはいけません。フィルムなので連写機能もなければ、撮った画像をその場でチェックもできません。その一瞬を大切に残したいという気持ちが、フィルムをより魅力的に感じさせてくれるのでしょう。

 現像とプリントは「studio5」の現像技師・勢井正一さんという方が全て手作業で行います。今回は伊東さんにスポットを当てて取材をさせて頂いていましたが、勢井さんもすごい技術をお持ちなんです。モノクロを専門にこの道40年の勢井さんは、光を巧みに操って写真を一枚一枚丁寧に仕上げていきます。

 勘違いされやすいのですが、現像って写真をプリントすることじゃないんです。わかりやすくいうと写真の原本を作る作業のことをいいます。ここでの仕上がり方で写真の良し悪しが決まります。

 このお二人の素晴らしい技術は、一枚のモノクロ写真に形を変えてお客さんに届けられています。

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 『いきますよ〜。はい、チ〜ズ』なんて掛け声はしません。

 人はカメラの前に立つとつい表情が硬くなってしまいます。なので伊東さんは終始、変な音を出したり、面白い顔をしてお客さんの緊張をほぐします。 

 実は僕もお客さんとして写真を撮ってもらいました。撮影場所は奈良県宇陀市にある築300年の古民家を改装したギャラリーです。その日はあいにくの雨模様でしたが、それはそれで味わい深いものです。濡れないように屋根のある縁側の下で撮影することになりました。

 髪型も服装も普段のまんまです。よそ行きの格好ではなく普段通りの姿で残すことを伊東さんはおすすめしています。写真撮影をもっと身近な存在にしたいという想いも込められているのかもしれません。

 僕はカメラマンなので撮るのは嫌いじゃないですが、撮られるのはあまり得意ではありません。撮影時間は30分くらいでしょうか。常にコミュニケーションをとりながらリラックスさせてくれたので、あっという間に撮影は終わりました。

 伊東さんの前だとどういう訳か自然な表情になるんです。スタッフのみなさんも「伊東さんは笑顔を引き出す天才だ」とおっしゃっていました。

 きっとあの眼鏡とチョビヒゲに何か秘密があるんじゃないかと僕は踏んでいます。

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 撮った写真の中から、どの一枚にするかは伊東さんがじっくり選びます。楽しそうに作業されているのがとても印象的でした。

 お客さんの中には自分で写真を選びたいという方もいらっしゃるかもしれませんが、どんな写真が手元に届くのかワクワクしながら待つのも演出の一つです。

 伊東さんが選ぶ写真にはストーリーがあります。かしこまった表情の写真はあまり選びません。それよりはもう少し自然に近い表情だったり、空気感だったり、、。写真を見ながら誰かと一緒に会話をしたくなるような、そんな写真を選んでいるように見えました。

 白黒だから足りない情報は、お互いの記憶を会話をしながら埋めていく。モノクロの世界は人と人との距離を近くしてくれるのかもしれません。

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 この先、いとう写真とは長いお付き合いになりそうです。10年後の僕は一体どんなオジサンになって写真に写っているんでしょうか。そして10年後の僕は今の写真を見てどう振り返ってくれるのでしょうか。伊東さんが撮ってくれる写真は、これから僕の人生に彩りを与えてくれます。

ご精読ありがとうございました。

 

#いとう写真館#studio5#ギャラリー童夢