以前、『カメラマン達が思う、アシスタントへの不満』を書きました。
多くのカメラマンが技術的なことではなく、アシスタントの社会常識や人間性に不満を感じていました。
今回は僕がアシスタントに対して望むことを書きたいと思います。
これは個人の考えです。
関係ない業種の方はこの先読んでも面白くないかもしれません。
ご了承ください。
アシスタントの仕事で大切なのは3つあると考えます。
①車の運転
この業界に入るために資格は必要ありませんが、運転免許は必ず必要になります。
ロケで人と機材を運ぶためにはロケ車が必要です。
アシスタントの仕事の中で車の運転は全体の7割を占めると思います。
車の運転ができて初めてスタートラインに立ったと言えるでしょう。
僕も最初はペーパードライバーでした。
会社に入っていきなりハイエースを運転することになり、それはそれはかなり苦労しました。
車の運転が嫌で仕事を辞めようと本気で考えた時期もありました。
今のアシスタントは運転する機会が減りました。
数年前からロケの移動は車両会社にお願いする機会が増えたからです。
おかげで技術の負担はかなり減って助かっているのですが、その代わりに運転技術が上手くならないのも事実です。
1年、2年立ってもまだ助手席に座っているアシスタントがほとんどです。
「助手席」とはまさにこのことですね。
しかも今はカーナビがあります。
だから地図を見なくても目的地に行けるんです。
地図を見ないから道を覚えない、道を覚えないから運転が上手くならない。
完全に負のスパイラルです。
車の運転で大きな事故をしてしまうと取り返しのつかないことになります。
だからと言って運転しないのは違うと思います。
命に関わるからこそ大切な仕事なんです。
そこの意識をしっかり持って運転してほしいですし、助手席に座っているなら左右の確認くらいはしてほしいですね。
②準備と撤収
アシスタントがまず最初に教わる仕事はこれじゃないでしょうか。
これ、誰でもできると思って甘く見てはいけません。
ロケの内容と機材の使い方を理解していないと、なんの機材を準備していいのかわかりません。
僕は毎日怒られました。
怒られないためにはどうしたらいいのかを考えます。
説明書と参考書を繰り返し読み、機材を理解することにしました。
この機材はどのタイミングでどう使うのか?
理解が深まると新しい疑問が生まれます。
なんとなくしていた機材準備が、
ある時ロケの動きを逆算して準備できるようになります。
素早く準備・撤収するためには、作業しながら次の動きを考えないとできません。
準備で『機材』を知り、撤収で『要領』を覚えます。
自然と観察力と思考力が身についていきます。
③機材の管理
要は荷物持ちです。
これこそ誰でも出来ます。
荷物を持っているだけの仕事だと楽しくありません。
僕はカメラマンが気持ちよく仕事をする為にはどうすればいいかを考えることで、アシスタントという仕事のやりがいを見出しました。
三脚はいつ必要なのか?
バッテリーは何本必要なのか?
この状況、自分がカメラマンになった時ならどうしようか?
この業界は自分で考え、人を観察して学ぶことがほとんどです。
『仕事は見て盗む』
今の時代にあってないかもしれませんが、盗んで身につけた技術は一生忘れないものです。
与えられた知識より、盗んだ技術の方が何十倍も自分の為になる。
という事を今の若者達はもう少し知った方がいいかもしれません。
最後に、
現場では余裕がなかったり、感情的になったりして、アシスタントにうまく思いを伝えられない事があります。こうして相手に望む事を文章化する事で冷静にお互いを理解出来ると思います。
ご精読ありがとうございます。