横垣哲也のミソ知る

時代に乗り遅れたテレビカメラマンがブログを始めました。

君が思うヒキの画は、実はそんなにヒキじゃない。<175日目>

 

 

 おはようございます。大きい家を見るとテンションが上がるテレビカメラマンの横垣哲也です。早速ですが番宣をしたいと思います。と言ってもすでに放送は終わっているんです。しかし見逃し配信があるから大丈夫。『MBS動画イズム』か『TVer』でご視聴できます。期間は5/9までなのでお時間あるときにでも覗いてみて下さい。番組は葉加瀬太郎さんのバイオリンでおなじみの『情熱大陸』です。あの曲を聴くとテンションが上がります。

 

 今回の主人公は動物彫刻家・はしもとみおさんです。ふくやま美術館、はしもとさんが師匠を訪ねにいくシーン、はしもとさんのアトリエ、そして青森県の取材に数日同行させてもらいました。

 

 カメラ機材はディレクターの好みでSONYのα7ⅢとFX3で撮影しました。SONYオートフォーカスの機能はホント優秀ですね。タッチパネルでピントが合わせられるのも便利でした。音声はワイヤレスマイクをはしもとさんに付けることもありましたが、ほとんどカメラマイクで収録していたと思います。MAで調整しているとはいえ、カメラマイクでも十分に音を拾っています。

 

 数ヶ月間かけて取材していたんじゃないかと思います。僕がお手伝いしたのはほんの一部でほとんどはディレクターが一人で撮影しています。ディレクターと機材が優秀だと僕達カメラマンの必要はなくなりますね。これ、嫌味じゃなくて本当にそう思っています。

 

dizm.mbs.jp

 

 2年前にもラーメン店主・大西益央さんの回を撮影させていただきました。そんな第一線で活躍されている方々を間近で取材できる番組に少しでも関われたことに感謝とご縁を感じています。

 

 「情熱大陸に出たい」って方は結構いるんじゃないでしょうか?この番組に出演できたら知名度も一気に上がりますもんね。これは裏方のスタッフにも同じことが言えて、「情熱大陸やりました」というだけで周りの食いつきが違います。もし、『テレビ業界で働くなら関わってみたい番組ランキング』があるとするなら、かなり上位に食い込んでくることでしょう。それくらいこの番組が世間に与える影響力がかなりあると僕は思います。

 

 理由として全国ネット番組ということが大きいです。そして番組開始から23年も続いている言わずとしれた長寿番組です。業界人じゃなくても知らない人は少ないと思います。番組自体に魅力がないとこれだけの長い期間続けることはできません。『日曜の夜のひと時、一週間を前向きに生きるパワーを感じてもらうための明日に繋がるテレビドキュメンタリー』が番組のコンセプトです。これまでにもたくさんの人にパワーを与え続けてきたし、これからも情熱を届け続けることに違いありません。

 

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 密着取材しているわけですから撮影時間も長くなります。一日中カメラを回し続けるのはよくあることです。ドキュメンタリーですから何が起こるかわからないし、急にいいコメントをするかもしれません。なのでドキュメンタリー撮影においてカメラマンはテクニックよりも根気と体力がかなり重要なんじゃないでしょうか。

 

 そんなにドキュメンタリーを撮った記憶はありませんが、人との距離間には気をつけています。相手のことをよく知らないのにいきなり間近で撮影されたら誰だっていい気はしません。もちろん状況にもよりますが、最初はできるだけ離れて撮影するようにしています。距離をとって動きや表情を観察していると、いま何を考えているかがうっすら見えてきます。状況を把握することで相手を理解して、どこまで近づいていけるかを判断していきます。

 そういえば番組の中でも距離を置いて作品を観察するシーンがありましたね。『彫刻で大事なのは印象』だとはしもとさんは答えていました。カメラでも広角レンズと望遠レンズで印象が変わるように、距離感も意識して撮影しています。

 

 余談ですが普段の撮影でも気持ちが焦っていたり、テンションが上がって撮影に集中しているとつい距離が近くなってしまって、ヒキの画を撮るのを忘れてしまいます。そんな余裕のないカメラマンを見た時には、『一回ヒキましょう』と優しく声をかけてください。するとカメラマンは少し照れながらヒキの画を撮ってくれるはずです。

 

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 今はゲームやインターネットなど楽しめるコンテンツがたくさんあります。テレビを観る時間が少なくなったと言いますが、今まではテレビしか楽しいことがなかったから観ていただけなのかもしれません。

 そうは言っても素晴らしいテレビ番組はまだまだたくさんあります。内容が面白いとかそういう話ではなく、関わった人達が想いを持って作り上げている番組はとてもいい番組です。どんなに無名でたった1分の短い番組でもそれは同じだと思っています。

 

 最後となりましたが、番組の後半に差し掛かる前に実景インサートが1カット入ります。海と夕景をバックに電車が走っているんですが、それは僕が撮影しました。予想もしていない画が撮れるとテンションが上がります。よかったらそのカットだけでも視聴してもらえると嬉しいです。

 

 

ご精読ありがとうございました。