横垣哲也のミソ知る

時代に乗り遅れたテレビカメラマンがブログを始めました。

小豆色の電車に乗って<97日目>

小豆色の電車に乗り、窓から外を見てみると何度も見た風景がそこに流れている。

天気はいい。

ラッシュ時よりも少し時間が遅いせいか、ソーシャルディスタンスを保てるくらいは空いている。

 何が違うわけでもない。いつもと同じ。

電車に乗ると物思いにふけることが時々ある。

どうやら今日はその日のようだ。

 

 

意識をしながら窓の外を見ていると、流れていく景色の中に一軒、知らない中華料理屋さんがあった。おそらく普通の中華料理屋さん。味も外観からして想像がつく。

何度も見ていたはずなのにこんなところにあるなんて知らなかった。知ったところで家からちょっと離れているのでたぶん食べに行くことはない。

 

意識をして電車内を見渡す。みんな初めて見る顔ぶれである。もしかしたら過去に同じ車両に乗ったことがあるのかもしれない。目の前のおじさんが将来自分の人生を大きく変えるキーパーソンになるかもしれない。

だからってなんだ。そのおじさんが誰かなんて今の僕にはどうでもいいこと。

 

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 毎日同じことするのはとても大切なことです。同じ時間に起きて、同じ電車に乗り、同じ道を歩いて、同じ場所に行く。同じ仲間と同じ仕事をして、同じご飯を食べて、同じ時間に寝る。そうすることで作業も効率がよくなるし計画が立てやすい。何より安心感があります。精神衛生上とてもいいことなんです。

 

 しかし僕は「同じ」がどうも好きになれません。ひねくれ者と思われるかもしれませんがその通り、かなり上級のひねくれ者です。しかし仕事をする上でこの感覚は大切にしたいと思っています。

 

 毎日同じ作業を繰り返していると人間なのでどうしても失敗することがあります。『失敗』と言い切ってしまうと少し極端かもしれません。『違和感を覚える』といった方が正しい表現ですね。

 

 撮影していてピントがほんの少しあまかったり、ズームのスピードが少し遅かったりします。これらの失敗は他人からすればそんなに気にならないのかもしれません。なんなら失敗とも思わないレベルです。いつもと同じ動きができないから違和感を覚えてしまうのです。

 

 ときどきそうやって注意深く自分の行動を確かめてみないと、窓から見えるこの当たり前の景色のように気づかないまま流れ去っていっていきます。

 

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 どうやら僕は「当たり前」が嫌いみたいです。

美味しくご飯を食べ、好きな仕事があり、健康で無事に一日過ごすこと。

僕はそんな当たり前じゃない暮らしを見逃したくはありません。

 

 

【ちょっと大きなヒトリゴト

意識しないと見つからないことがある。

注意しないと見過ごしてしまうこともある。

注意深く見てみるといつもと同じことでも同じじゃなくなる。

 

 

 

ご精読ありがとうございます。

 

ちなみに先日<R-28>を更新しています。読んでも読まなくて大丈夫です。

yokocamera.hatenablog.com