横垣哲也のミソ知る

時代に乗り遅れたテレビカメラマンがブログを始めました。

仕事は人生を彩り豊かにしてくれる<181日目>

 

 

 僕の記憶が確かなら、あなたが初めて行ったロケのカメラマンは僕だったんじゃないでしょうか?「おととい入ったばかりで、ロケに来るは今日がはじめてなんです」そんなふうに言っていたように記憶しています。『いまどきの4Kテレビがすごい』っていう内容の取材でした。僕はいつも通り仕事をこなしますが、あなたは三脚を持つだけで精一杯でしたね。

 ロケの合間に僕はあなたに質問をしました。「将来の夢は何?」するとあなたは「お金を1000万円貯めて、実家をリフォームしたいです」と答えました。それを受けて僕はこう答えました。「例えば10年で1000万円貯める為には1年で100万円。それを12ヶ月で割ると1ヶ月で約8万円は貯金せなあかんよ」

 そんなことを言う僕に対してあなたは『なんだこのオッサン?』って顔をしていましたよね。

 あれから何年か経ちました。貯金額は順調に増えましたか?お金が貯まって実家をリフォームできた暁には、お祝いに4Kテレビをプレゼントしたいと思います。

f:id:yokocamera:20210824233843j:image

 会社の同僚が退職することになりました。理由は実家の仕事を手伝うことになったからです。とても素晴らしいことだと思います。

 この一年間は彼女とロケに行くことが多かったです。おそらく彼女にとっては辛いロケばかりだったはずです。しかし弱音は一切口にしないで、僕の無茶ぶりにも嫌な顔をせずに対応してくれていました。時には僕のしょうもないボケにも優しくツッコんでくれました。いつも明るくて周囲に気配りができる彼女に、僕は何度も助けられました。そんな彼女が退社すると聞いて僕はショックでした。

 まさか本人もこんなに早く辞めるつもりは無かったと思います。仕事が楽しくないとか、給料が少ないとか、人間関係がうまくいかないとかが理由なら、説得もできたかもしれませんが、家庭の事情となるとそうもいきません。おそらく悩みに悩んだ末に出した答えだと思います。

 キレイな風景を見たり、美味しいものいっぱい食べて欲しかったのに、コロナが落ち着いたら海外ロケに行って、一緒に世界中を飛びまわりたかったのに、新しいことに挑戦したばかりなのに、これから頑張りますって言ってたのに皮肉なもんですね。

f:id:yokocamera:20210912132738j:image

 「いろんな場所に行けて楽しそうな仕事ですね」とよく言われます。その通りです、だから20年もやってます。まさか自分もこんなに長いことこの仕事を続けているなんて思ってもみませんでした。昨日は深夜の3時に起きて定置網漁の撮影をしました。先日は朝から晩まで休憩なく撮影していました。ロケの日程も不規則なのでろくにまとまった休みも取れません。

 楽しいだけの仕事ってこの世にあるんでしょうか?僕が知る限りそんな仕事はどこにもありません。辛いことがあるからこそ、その先に楽しいがあるんです。この『楽しい』と『辛い』のバランスをとりながら仕事をしています。

 ただ働いてお金を稼ぐだけの仕事はしたくありません。僕が仕事を決める基準はワクワクするかどうかです。嫌な気持ちで仕事をしていてもいい結果は得られませんし、撮影していても全然楽しくありません。ワクワクできる基準を自分に持てるかどうかで、仕事の向き合い方も変わってくるんじゃないでしょうか。

f:id:yokocamera:20210912133108j:image

 最後のロケも僕がカメラマンでしたね。その日はとてもとても暑く、一日中ドタバタしたロケでした。あなたは汗だくになりながら、他のスタッフを一生懸命サポートしてくれていましたね。

 ロケの後半、技術スタッフ全員で記念写真を撮ることになりました。僕は少しでも良い写真にしたかったので、あなたの肩を組んで最高の笑顔をつくりました。そんな僕に対してあなたは『気安く触んなよオッサン』って顔をしていましたよね。

 あの写真を証拠にセクハラで訴えられたら、僕は万事休すです。これからもずっと応援しています。お疲れ様でした。

 

ご精読ありがとうございました。

f:id:yokocamera:20210824234212j:image