横垣哲也のミソ知る

時代に乗り遅れたテレビカメラマンがブログを始めました。

無題<194日目>

 

 

 仕事のことは何一つ教わったことがありません。怒られた記憶もありません。

 

 ロケが終わって会社で機材を撤収していると、頃合いを見計らって連絡が入ります。

「いつものところで飲んでるから、撤収終わったらおいで。」時計を見るとすでに21:00をまわっていました。

 いつものオジサン達が、いつもの話で盛り上がっています。話に飽きたら若い僕をつかまえて、撮影のイロハを熱く語ってくれました。

 

 「終電なんでお先に失礼します!」ってタイミングを見計らって言おうとしますが、そんなことはお構いなしで、話はどんどん盛り上がっていきます。その当時は上司や先輩の誘いを断るなんて言語道断。次の日が朝の6時集合だろうとそんなの知ったこっちゃありません。

 結局のところ、終電時間ギリギリで店を飛び出し、駅まで猛ダッシュしたのが、今から約20年前の話です。

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 夏になると会社の近所で大規模な花火大会があります。普段は静かな下町ですが、その日ばかりは花火を見物する人で溢れかえっています。

 会社の屋上から花火がよく見えたので、その日はみんなを呼んで宴会するのが恒例行事でした。普段は会社にいないのに、この日だけは率先して朝から準備をしています。

 内勤の僕をつかまえて一緒に買い出しです。鹿児島県産黒毛和牛がリーズナブルなお値段で手に入る、馴染みの精肉店でお肉を買ってから、近所の百貨店でお酒を大量に買うのがお決まりのコースです。

 陽が傾いてくるとスタートの合図です。いつもお世話になっている制作会社の方や、ロケから帰って来るスタッフ達の為に自らトングを持って、良いお肉をイイ感じの炭火で焼いていきます。

 宴もたけなわになってくると、向こうの方から大きな爆発音が夏の夜空に鳴り響きます。次々に打ち上げられる大きな花火は、特等席じゃなくても十分過ぎるほどの迫力です。

 準備や後片付けは大変でしたが、そんなに飲めないビールを片手に、かむろ花火の火花が流れ落ちるのを観るのが、夏の風物詩でした。

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 誕生日にはメールが届きます。内容はいたってシンプルです。飲み会や記念日などキッカケを見つけては、みんなとコミュニケーションをとって、距離を遠ざけたくなかったのかも知れません。

 スナックに行くと必ず歌う曲があります。お世辞にも上手いとは言えませんが、カッコつけて歌う横顔を僕は忘れません。

 

目立たぬように 
はしゃがぬように 
似合わぬことは無理をせず 
人の心を見つめつづける 
時代おくれの男になりたい

 

 今日も世界中すべてのロケが、楽しいロケになりますように。