横垣哲也のミソ知る

時代に乗り遅れたテレビカメラマンがブログを始めました。

辞めたい理由よりもやりたい理由<180日目>

 

 

 2度目の会社員になり、早いもんで1年が経ちました。21歳で前の会社に入ったときは初々しさがありましたが、仕事のスタイルがある程度完成している40歳には太々しさしかありません。

 身の回りの環境を整えることと、結果を出すことに、たくさん時間を費やした1年でした。辛くて辛くてどうしようもない時期もありましたが、改めて振り返ってみるとまだまだやれたんじゃないかとも思います。

 最初の半年間は『覚えること』と『慣れること』に重点をおきました。簡単にいえば情報収集です。取引先との対人関係や社内の雰囲気、会社の機材の確認などです。

 じゃあ具体的に何をしたかというと『質問』です。質問は会話のキッカケを作るのに効果的だし、合わせて疑問も解消してくれます。コミュニケーションの手段として僕はよく使います。

 もう半年間は『自分』を出しました。例えば新しい機材を購入を提案したり、社内の整理整頓をしたり、自分だったらこうした方がいいと思うことは行動しました。

 当然、会社と意見がぶつかることもあります。そのときは議論をして解決方法を探ります。これにはかなりエネルギーを消費しますが、意見を交わすことでよりお互いの理解を深めることができます。

 といった具合で毎日仕事をしていたら、あっという間に1年が経ちました。2年目は少しやり方を変えて、ボチボチやっていこうと思います。

 

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 『フリーランスの方がいいのか?それとも会社員のままの方いいのか?』企業に就職してある程度キャリアを積むと、そんなことを考える人も少なくないと思います。会社は身の回りのことを色々管理してくれますが、フリーランスの場合は自分ですべて管理しなくてはいけません。

 僕もフリーを数年経験しました。面倒なことはもちろんありますが、おかげで色々社会の勉強をさせてもらいました。責任を背負うことで仕事のモチベーションがグッと上がりますし、成功すれば収入も増えます。リスクが高い環境で仕事をしていると、得るものも多くなります。何かしらの代償を払わなくては何かを得ることはできません。昔の言葉でいうところの『虎穴に入らずんば虎子を得ず』です。

 

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 決してフリーランスの方が良くて、会社員がダメという話ではありません。実際に僕はまた会社員になって楽しく働いています。

 ここで大切なのは、リスクを選ぶ覚悟があるかと言うことです。それは会社員でも同じことです。「水が合わないから」と「もっと成長したいから」とでは、環境を変える理由の意味合いが全然違います。

 最近ではユーチューバーになりたい子供が多いようです。その夢を叶えるのはとても簡単です。今すぐアカウントを作って動画を投稿すれば、誰でもユーチューバーになれます。改めて言いますが、ユーチューバーになることが重要なのではなく、ユーチューバーになって何を発信するかが大切なんです。

 フリーランスになってどんな仕事がしたいのか。どんなカメラマンになってどんな映像が撮りたいのか。そこに『目的』があります。

 フリーになることを『目的』にするのではなく、あくまで目的を達成するための『手段』であると理解しておかなくてはいけません。

 

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 僕は自分のやりたいことを実現させるために今の会社に入りました。自分の意思で行動できる会社です。おかげさまで好き勝手やらせてもらっています。身の回りを面倒みてくれる環境で、リスクを背負うのもなかなか悪くありませんよ。

 

ご精読ありがとうございました。

色の無い世界が与えてくれるモノ<179日目>

 

 

 このブログを本格的に始めるまでをSNSをやったことがありませんでした。決して食わず嫌いではありません。興味がなかったわけでもありません。どういう風に利用したらいいのかがわからなかっただけです。

 僕のInstagramをご覧になったことはありますでしょうか?スマホで撮った画像はすべてモノクロに加工してアップしています。懐古的な感じが好きなんです。もちろん色彩があった方が鮮やかでしょうし、インスタ映えもすることでしょう。

www.ito-photo.net

 

 物語の主人公は写真家の伊東俊介さん。先日、朝日放送『LIFE〜夢のカタチ〜』という番組で製作現場を取材させて頂きました。

 伊東さんは日本各地のギャラリー・カフェ・雑貨店など様々な場所で出張撮影会をしています。この活動は10年以上続いており、これまでたくさん人を写真に収められてきました。

 彼の活動で一番特徴的なのは、フィルムカメラで撮影をしていることです。しかも写真はモノクロで仕上げています。

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 動画と違って写真は一瞬の表情をカメラに収めなくてはいけません。フィルムなので連写機能もなければ、撮った画像をその場でチェックもできません。その一瞬を大切に残したいという気持ちが、フィルムをより魅力的に感じさせてくれるのでしょう。

 現像とプリントは「studio5」の現像技師・勢井正一さんという方が全て手作業で行います。今回は伊東さんにスポットを当てて取材をさせて頂いていましたが、勢井さんもすごい技術をお持ちなんです。モノクロを専門にこの道40年の勢井さんは、光を巧みに操って写真を一枚一枚丁寧に仕上げていきます。

 勘違いされやすいのですが、現像って写真をプリントすることじゃないんです。わかりやすくいうと写真の原本を作る作業のことをいいます。ここでの仕上がり方で写真の良し悪しが決まります。

 このお二人の素晴らしい技術は、一枚のモノクロ写真に形を変えてお客さんに届けられています。

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 『いきますよ〜。はい、チ〜ズ』なんて掛け声はしません。

 人はカメラの前に立つとつい表情が硬くなってしまいます。なので伊東さんは終始、変な音を出したり、面白い顔をしてお客さんの緊張をほぐします。 

 実は僕もお客さんとして写真を撮ってもらいました。撮影場所は奈良県宇陀市にある築300年の古民家を改装したギャラリーです。その日はあいにくの雨模様でしたが、それはそれで味わい深いものです。濡れないように屋根のある縁側の下で撮影することになりました。

 髪型も服装も普段のまんまです。よそ行きの格好ではなく普段通りの姿で残すことを伊東さんはおすすめしています。写真撮影をもっと身近な存在にしたいという想いも込められているのかもしれません。

 僕はカメラマンなので撮るのは嫌いじゃないですが、撮られるのはあまり得意ではありません。撮影時間は30分くらいでしょうか。常にコミュニケーションをとりながらリラックスさせてくれたので、あっという間に撮影は終わりました。

 伊東さんの前だとどういう訳か自然な表情になるんです。スタッフのみなさんも「伊東さんは笑顔を引き出す天才だ」とおっしゃっていました。

 きっとあの眼鏡とチョビヒゲに何か秘密があるんじゃないかと僕は踏んでいます。

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 撮った写真の中から、どの一枚にするかは伊東さんがじっくり選びます。楽しそうに作業されているのがとても印象的でした。

 お客さんの中には自分で写真を選びたいという方もいらっしゃるかもしれませんが、どんな写真が手元に届くのかワクワクしながら待つのも演出の一つです。

 伊東さんが選ぶ写真にはストーリーがあります。かしこまった表情の写真はあまり選びません。それよりはもう少し自然に近い表情だったり、空気感だったり、、。写真を見ながら誰かと一緒に会話をしたくなるような、そんな写真を選んでいるように見えました。

 白黒だから足りない情報は、お互いの記憶を会話をしながら埋めていく。モノクロの世界は人と人との距離を近くしてくれるのかもしれません。

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 この先、いとう写真とは長いお付き合いになりそうです。10年後の僕は一体どんなオジサンになって写真に写っているんでしょうか。そして10年後の僕は今の写真を見てどう振り返ってくれるのでしょうか。伊東さんが撮ってくれる写真は、これから僕の人生に彩りを与えてくれます。

ご精読ありがとうございました。

 

#いとう写真館#studio5#ギャラリー童夢

僕に仕事のお願いをする理由<178日目>

 

 

 今年の1月からLINEのステータスメッセージで『仕事がしたい日』を公開しており、普段からお付き合いのある方からは大変便利だとご好評いただいております。

 時間がない時にカメラマンを探すのってなかなか骨が折れる作業なんです。先方からするとわざわざ電話やメールで確認しなくても済むし、こちらとしてもスケジュールが合わなかった時にお断りする回数が少なくなるので、お互いの作業効率がめちゃくちゃいいんです。

 そしてつい先日『仕事がしたい日』に興味を持ってくれた知人のカメラマンが、このシステムを真似してくれました。すると公開してすぐに仕事の連絡が入ってきたみたいで、知人もこの効果にビックリしています。

 

 このアイデアにはまだまだ可能性があると思います。引き続き『仕事をしたい日』を公開していきますので、たくさんの発注を心よりお待ちしています。

 

yokocamera.hateblo.jp

 

 会社員になってもうすぐ一年になるのですが、僕が抱えている仕事のほとんどが個人に来た仕事です。誤解しない為にもお伝えしますが、会社組織に入ったからこそ受けられる仕事もたくさんあるので、僕一人だけの力だとは思っている訳ではありません。窓口が僕になっているというだけの話です。

 いただいた仕事は一生懸命しています。周りの人に対しても思いやりや気配りを持って接しています。でもそんなことが理由で僕に仕事をお願いするものなんでしょうか?もしも僕がディレクターだったとしたら、どんなカメラマンにお願いしたいと思うのか考えてみました。

 

 一番に思いついたのはやっぱり技術があるカメラマンの方がいいですね。センスが良くてカッコいい画をたくさん撮ってくれたら最高です。次にコミュニケーションがちゃんとできるカメラマン。仕事の相談から他愛のない話まで、気兼ねなく話がしたいです。あとは仕事の早いカメラマン。僕がせっかちなので、そのペースに合わせてくれるとストレスなく仕事が進みます。

 他にもいっぱい挙げるとキリがないのでこれくらいにしておきますが、はたして今の自分を顧みたときに、理想とするお願いしたいカメラマンに自分はなれているんでしょうか?

 

 

yokocamera.hateblo.jp

 

 

 技術は最低限あります。でも知識はあんまりないかもです。たまに自分でもかっちょいい画が撮れたと思うこともあるので、センスが無いって事はないはずです。経験値もそれなりに積み上げてきたつもりです。コミュニケーションをとるのは得意な方かもしれません。ただ自分に正直な人間なので相性が合わないと感じた相手には露骨な対応をしてしまいます。仕事は早いです。ただ早さを求めすぎるあまり、自分に妥協してしまう所があります。これに関してはいつも反省しています。

 

 以上を踏まえて考えると、もし僕がディレクターだったとして自分にカメラマンの仕事をお願いしたいかって聞かれると、絶対にお願いしたい!って感じじゃないかもしれません。

 

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 もし知り合いのディレクターが30人いて、毎日違う人が仕事をくれたらそれだけで1ヶ月休みなく仕事をすることができます。そんな単純な話じゃないことはもちろんわかっていますが、その人数が300人、3000人いたとしたら、1ヶ月休みなく仕事をすることができるかもしれません。

 

 何年も同じ場所で同じ仕事をしていると仕事相手も毎度お馴染みになってきます。新しい仕事も大切ですが、今までお世話になっている方々からまたお願いしたいと思ってもらえるようなカメラマンになりたいものです。

  おかげ様で多忙な日々を過ごさせて頂いているのも、ひとえに皆様からのお力添えがあってのことです。いつもありがとうございます。

 最後に感謝の気持ちを述べておきながらこんなことを言うのも変な話ですが、どうして知り合いのディレクターは僕に仕事をお願いしてくれるのでしょうか?

 それはおそらくそのディレクターが、知っているカメラマンの人数が少ないだけなんだと思います。でもそのおかげで僕は今日も仕事ができているわけですから、くれぐれも他のカメラマンと知り合いにならないようお願いします。

 

 

ご精読ありがとうございました。

僕のブログがバズった件<177日目>

 

 

 電車が止まりました。車内アナウンスによると、一本前に走っていた電車が信号のトラブルで途中停車したみたいです。

 基本的にせっかちな性格でよくイライラしているのですが、待つという行為は案外好きなんです。もちろんただボーッと待っているわけではありません。頭の中は常に何かを考えています。

 そういえば前回投稿したブログ記事のアクセス件数が1000件に達しました。これはいつもに比べてかなり多くの人々の目に触れたことを意味します。ブログを書き始めて1年ちょっとですが、こんなことは初めてだったので流石に動揺しました。しかしなぜこんなことになってしまったのでしょうか?

 

 車両点検にもう少し時間がかかるみたいです。いい機会なので待っている間、その原因について検証していこうと思います。

 

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検証その①「バズる」とは?

 最近よく耳にする言葉「バズる」ですが、そもそもどういう意味なんでしょうか?

 「Buzz」は英語でハチがぶんぶんと飛び回る音を表していて、ひとつの場所に集まって噂話でざわざわするといった意味があるそうです。SNSや口コミで話題になることを指し、「インターネット上で話題になっている」「流行している」という意味でとらえるとわかりやすいかもしれません。

 

 話を戻しますが、バズったキッカケはTwitterです。Twitterをしている目的は「SNSの勉強」と「ブログの存在を広める」です。なのでブログを更新するたびに一言添えてツイートしています。

 今回「いいね」は400件、リツイートは200件でした。通説では「いいね」の数が10000件を超えるとバズった状態だとされています。なのでこの数字では到底バズったとは言えませんが、普段「いいね」がない僕にとっては驚異的な数字なので、今回はあえてバズったと言わせて下さい。

 

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検証その②SNSの仕組み

 こうなってしまった理由にSNSの仕組みがポイントになっていると考えています。その一つが「ハッシュタグ」です。

 「いいね」をしてくれた方のほとんどが、Aぇ! groupのファンでした。今回は僕なりに番宣を兼ねた投稿だったので、僭越ながら『#関西ジャニ博』とハッシュタグをさせて頂きました。そこから番組を応援してくださるファンのエンゲージメントを高めることに繋がりました。

 そしてもう一つ理由は番組公式Twitterをフォローしたことです。番組公式Twitterのフォロワー数は30000人を超えており、いつもファンから沢山の「いいね」がついています。

 SNSは「いいね」をしたり、フォローしたりすると、そのユーザーと繋がっているフォロワーのタイムライン上にも反映される仕組みになっています。目的が同じユーザーと繋がることで、多様な意見を共有することができます。

 以上の仕組みのおかげでファンの方々とタイムライン上でお会いすることが出来ました。

 

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検証その③匿名性

『〇〇さんがいいねをしました』

『〇〇さんがリツイートしました』

『〇〇さんがコメントをしました』

 結局その日は一日中、スマホのブーブーが鳴り止むことはありませんでした。

 

 Twitterの特徴の一つに「匿名性」があります。「いいね」をくれた方のほとんどが匿名です。ユーザー名やアイコンをみても誰なのか特定することができません。おそらく「裏垢」「サブ垢」「趣味垢」などのように、アカウントを使い分けて管理しているのでしょう。

 個人が特定されにくいので情報が発信しやすくなっています。お互い相手のことを何も知らなくても、匿名にすることで抵抗感なくコミュニケーションをとることができます。

 

 番組やAぇ! groupを応援したいという気持ちがたくさんの「いいね」に繋がったんだと思います。フォロー、いいね、リツイート、コメントをしてくださった方々、ブログ更新するたびに読んでくださっている方々、この場を借りて改めてお礼を申し上げます。ありがとうございました。

 

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 電車が動き始めました。停止してから40分くらい経ったんじゃないでしょうか。遅延はしましたが誰かが頑張って点検してくれたおかげで、どうやら事故なく目的地まで到着できそうです。

 

 放送業界ではインターネットの普及によって若年層のテレビ離れが深刻な問題になっていますが、こうしてブログやTwitterのリアクションをみると、誰かのもとには届いているんだなぁと実感することができました。

 SNSで知らない誰かと想いが繋がる。これからもたくさん発信していきたいですね。

 

 

ご精読ありがとうございました。

エンドロールでお会いしましょう<176日目>

 

 

 テレビには年に2回、春と秋に改編期があります。テレビ局の方針や番組関係者の不祥事、視聴率の低迷など様々な理由で番組が終了することがあります。改編時期が近づくと我々テレビカメラマンも関わっている番組が終了するんじゃないかと不安になり業界が全体がザワつき始めます。

 しかしよく考えて下さい。番組が終了するということは、新たな番組が始まるということなんです。すなわちチャンスが巡ってくるんです。この春、次世代アイドルグループの新しい番組がスタートしました。

 

www.mbs.jp

 

 毎週土曜深夜1:30〜、月に1回日曜ひる0:54〜毎日放送で放送しています。配信ではMBS動画イズム、Tver、GAYO!で一週間見逃し配信でご覧になれます。

 この4月から『関西ジャニ博』が新しくスタートしました。よゐこと関西ジャニーズJr.のAえ!groupが実験&調査に挑むバラエティ番組です。

 いきなりなぜ番宣しているかと言うと、もうお分かりですね。そうなんです、カメラマンとしてこの番組に関わらさせて頂いているからなんです。

 

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 記念すべき第1回目のロケはGPSアートで大阪の街に絵を描くという企画でした。出演者達は最新の乗り物やアイテムを駆使して、順番に入れ替わりながら大阪市内を走ります。

 僕はランナーの後ろから電動自転車に乗って撮影をしていました。DJI MO4にiPhoneを装着し、自転車のハンドルに取り付けます。予想以上に振動を吸収してくれてとてもいい感じに撮影ができました。iPhoneのカメラって画質もキレイだし逆光にも適応してくれるので本当に優秀ですよね。

 一日中自転車に乗っていたので、お尻にサドルの型がくっきりと描かれました。

 

 第2回目のロケは笑顔測定アプリを使って、番組ポスターを作るという企画でした。

 出演者が多いとカメラの台数もそれなりに必要になります。よゐこカメラ1台、Aえ!groupカメラ2台、全体がわかるヒキカメラ。それぞれのポジションから狙えるカットを探りつつ、カメラマン同士の呼吸も合わせていかなければなりません。お互いが何を撮っているかを横目で確認しつつ、カット割りをイメージしながらカメラワークをする、これぞ4カメ撮影の醍醐味ですね。

 出演者はというと、激痛足つぼマッサージで刺激されても、激辛料理を食べて咽せてしまっても、常に笑顔でい続けなきゃいけません。もちろん激痛と激辛で顔は歪みまくっていましたが、そのリアクションが超絶可笑しくてスタッフ全員笑顔でした。

 

 第3回目のロケはドキドキ企画です。心拍数を測定して誰がビビりなのかを暴いていきます。

 キュン台詞でお互いをドキドキさせるシーンでは、カメラ台数が最大7台。カメラマンは4人しかいませんが、この時ばかりは技術スタッフ総動員でカメラを回しました。

 普段カメラに慣れていないスタッフもいざ撮影するとなると本気になって目の色が変わります。おそらく出演者だけでなく、スタッフのドキドキもかなり高かったと思います。

 

 このように出演者の人数や内容をきくだけで、かなり大掛かりな番組だと想像して頂けたと思います。何度も言いますが、出演者はよゐことAえ!groupです。この規模の番組が土曜の深夜1:30〜毎日放送で放送されているわけですから、こんな贅沢な番組は他を探しても見つかりません。

 

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 ここ最近ブログを書く余裕がありませんでした。撮影の段取りやスタッフの確保、機材の手配などロケまでにしなければいけない仕事がいくつかあるのですが、この番組は毎回特番レベルなので、準備も普段のロケと比べると2倍の時間がかかります。今までブログに当てていた時間はこの番組のために使っています。

 しかしこの仕事を引き受けたことに対して全く後悔はしていません。むしろ感謝すらしています。 他のカメラマンからすると割に合わない仕事と思われますが、自分のやりたい事をやりたい放題させてもらっているので、身体的な疲れはあっても精神的な辛さは全くありません。紆余曲折あって今はカメラマンをしていますが、もともと制作の仕事がしたくてこの業界に入りました。技術の立場でありながら制作に関われるのが楽しくて仕方がありません。

 この番組を通してやりたいことがまだまだあります。まずは目の前の出来ることから挑戦していこうと思います。ブログを書く時間がないのはそれ相応の対価だと考えています。

 

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 番組の最後にエンドロールがあります。制作に関わったスタッフの名前が各パートに分けられて表示されています。普段なら「カメラ」とか「CAM」と書かれていることが多いのですが、この番組に関しては「撮影」と書かれたところに僕の名前があります。他の技術スタッフの名前もみんな同じパートにしてもらっています。そのようにしてほしいと僕がお願いをしました。これには会社員とかフリーランスとか技術とか制作とか先輩とか後輩とか関係なく、撮影チームが一つになって良い番組を一緒につくりたいという想いを込めています。

  出来るだけいろんなの人と「撮影」したいと考えているので、興味がある方は何らかの方法で僕にご連絡ください。一緒に楽しいロケをしましょう。

 

 

ご精読ありがとうございました。

 

君が思うヒキの画は、実はそんなにヒキじゃない。<175日目>

 

 

 おはようございます。大きい家を見るとテンションが上がるテレビカメラマンの横垣哲也です。早速ですが番宣をしたいと思います。と言ってもすでに放送は終わっているんです。しかし見逃し配信があるから大丈夫。『MBS動画イズム』か『TVer』でご視聴できます。期間は5/9までなのでお時間あるときにでも覗いてみて下さい。番組は葉加瀬太郎さんのバイオリンでおなじみの『情熱大陸』です。あの曲を聴くとテンションが上がります。

 

 今回の主人公は動物彫刻家・はしもとみおさんです。ふくやま美術館、はしもとさんが師匠を訪ねにいくシーン、はしもとさんのアトリエ、そして青森県の取材に数日同行させてもらいました。

 

 カメラ機材はディレクターの好みでSONYのα7ⅢとFX3で撮影しました。SONYオートフォーカスの機能はホント優秀ですね。タッチパネルでピントが合わせられるのも便利でした。音声はワイヤレスマイクをはしもとさんに付けることもありましたが、ほとんどカメラマイクで収録していたと思います。MAで調整しているとはいえ、カメラマイクでも十分に音を拾っています。

 

 数ヶ月間かけて取材していたんじゃないかと思います。僕がお手伝いしたのはほんの一部でほとんどはディレクターが一人で撮影しています。ディレクターと機材が優秀だと僕達カメラマンの必要はなくなりますね。これ、嫌味じゃなくて本当にそう思っています。

 

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 2年前にもラーメン店主・大西益央さんの回を撮影させていただきました。そんな第一線で活躍されている方々を間近で取材できる番組に少しでも関われたことに感謝とご縁を感じています。

 

 「情熱大陸に出たい」って方は結構いるんじゃないでしょうか?この番組に出演できたら知名度も一気に上がりますもんね。これは裏方のスタッフにも同じことが言えて、「情熱大陸やりました」というだけで周りの食いつきが違います。もし、『テレビ業界で働くなら関わってみたい番組ランキング』があるとするなら、かなり上位に食い込んでくることでしょう。それくらいこの番組が世間に与える影響力がかなりあると僕は思います。

 

 理由として全国ネット番組ということが大きいです。そして番組開始から23年も続いている言わずとしれた長寿番組です。業界人じゃなくても知らない人は少ないと思います。番組自体に魅力がないとこれだけの長い期間続けることはできません。『日曜の夜のひと時、一週間を前向きに生きるパワーを感じてもらうための明日に繋がるテレビドキュメンタリー』が番組のコンセプトです。これまでにもたくさんの人にパワーを与え続けてきたし、これからも情熱を届け続けることに違いありません。

 

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 密着取材しているわけですから撮影時間も長くなります。一日中カメラを回し続けるのはよくあることです。ドキュメンタリーですから何が起こるかわからないし、急にいいコメントをするかもしれません。なのでドキュメンタリー撮影においてカメラマンはテクニックよりも根気と体力がかなり重要なんじゃないでしょうか。

 

 そんなにドキュメンタリーを撮った記憶はありませんが、人との距離間には気をつけています。相手のことをよく知らないのにいきなり間近で撮影されたら誰だっていい気はしません。もちろん状況にもよりますが、最初はできるだけ離れて撮影するようにしています。距離をとって動きや表情を観察していると、いま何を考えているかがうっすら見えてきます。状況を把握することで相手を理解して、どこまで近づいていけるかを判断していきます。

 そういえば番組の中でも距離を置いて作品を観察するシーンがありましたね。『彫刻で大事なのは印象』だとはしもとさんは答えていました。カメラでも広角レンズと望遠レンズで印象が変わるように、距離感も意識して撮影しています。

 

 余談ですが普段の撮影でも気持ちが焦っていたり、テンションが上がって撮影に集中しているとつい距離が近くなってしまって、ヒキの画を撮るのを忘れてしまいます。そんな余裕のないカメラマンを見た時には、『一回ヒキましょう』と優しく声をかけてください。するとカメラマンは少し照れながらヒキの画を撮ってくれるはずです。

 

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 今はゲームやインターネットなど楽しめるコンテンツがたくさんあります。テレビを観る時間が少なくなったと言いますが、今まではテレビしか楽しいことがなかったから観ていただけなのかもしれません。

 そうは言っても素晴らしいテレビ番組はまだまだたくさんあります。内容が面白いとかそういう話ではなく、関わった人達が想いを持って作り上げている番組はとてもいい番組です。どんなに無名でたった1分の短い番組でもそれは同じだと思っています。

 

 最後となりましたが、番組の後半に差し掛かる前に実景インサートが1カット入ります。海と夕景をバックに電車が走っているんですが、それは僕が撮影しました。予想もしていない画が撮れるとテンションが上がります。よかったらそのカットだけでも視聴してもらえると嬉しいです。

 

 

ご精読ありがとうございました。  

番宣はカメラマンの仕事じゃない。<174日目>

 

 

 以前からずっと気になっていたことがあります。なんでプロデューサーやディレクターは自分の携わった番組の宣伝をしているのにテレビカメラマンは宣伝をしないのでしょうか?

 しないと言ったら語弊がありますね。宣伝しているカメラマンはもちろんいます。ただ制作スタッフと比べると全体的に少ない気がします。それで言うと僕自身あまり番宣をしない方です。何故しないのか自分の胸に手を当てて考えてみました。

 

 僕が番宣をするには会社のホームページに載せるか、SNSで投稿するかのどちらかになります。

 今の会社に入ってまだ1年も経っていないので、ホームページがどのように運営されているのかを全く把握していません。会社の誰かに確認すればいいんでしょうけど、みんな何かと忙しいのでわざわざ聞くのもなんだか気が引けます。

 じゃあSNSならどうかいうと、そんなに影響力があるとは思えません。そもそもブログを始めたきっかけで始めたわけですから、正直言ってちゃんと使いこなせていません。

 

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 そもそも僕が番宣するってどーなんでしょうか?僕の事を知らない人からすると、なんかちょっとイキっているように思われかもしれません。

 それと番宣は自分の仕事じゃないと思い込んでいるからなんだと思います。テレビカメラマンを始め、技術スタッフは職人気質の人が多いと思います。視聴率云々よりもその日一日、良い撮影が出来たかどうかを重きに置いて仕事をしています。なので終わったロケの事よりも、明日のロケの事の方が重要なんです。

 

 言っておきますがこれは僕個人の考えなので、すべてのテレビカメラマンがそういう考えではありません。じゃあ何故他のテレビカメラはあまり番宣をしないのでしょうか?

 

 おそらくその番組の事をよく理解いないんです。最近のテレビ業界は何かとコンプライアンスがとても厳しくてややこしくなっています。

 例えば番組放送の1週間前じゃないと情報を公開できない決まりがあります。決まりがあると言いましたが、正直いうとそのへんもよくわかっていません。そういった細かい情報を制作スタッフがわざわざ教えてくれるわけでもなければ、いちいち我々から聞くわけでもありません。お互いどこまで踏み込んでいいかよくわかっていないんです。

 

 あとは番組制作に関われる部分が少ないんだと思います。打ち合わせ、構成、撮影、編集と制作スタッフは数週間から数ヶ月かけて一つの番組に関わっているのに対して、技術スタッフは撮影日だけです。番組制作に費やす時間が少ないから、そこまで番宣に力が入らないんです。

 

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 番組に対する考え方や思い入れは人によって様々です。それでも僕はみんなで番宣した方がいいんじゃないかな思います。みんなで番宣して視聴率が少しでも上がればいいし、番組に協力してくれた方々も喜んでくれることでしょう。そして何より我々が撮影した血と涙の結晶が、多くの視聴者に観てもらえるわけですからこんなに良いことはありません。

 

 みんなで一つの番組に関わっているんだから、誰の仕事だとか関係ありません。みんなで宣伝すればいいし、みんなが自分の事として考えられれば、今よりは状況は少し良くなる気がします。

 僕は細かい性格だから余計なことを考えてしまいますが、本当はもっとシンプルに考える方がいいんでしょうね。

 

 

ご精読ありがとうございます。